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かぼちゃ嫌い

「かぼちゃは嫌いですか?」

妻の問いかけにネジは頷いた。
眉間に皺を寄せる彼に妻ヒナタは小さく、そう、と呟いた。
結婚して半年。夫となった一つ年上の従兄は、厳格で禁欲的で、
まさか彼に手篭めにされるとは思わなかった。
なし崩し的に流され結婚してしまったが、房事以外は
口数が少ない彼にヒナタはいつも困ってしまう。
今日だって、まさか嫌いだとは思わなくて、旬のかぼちゃを
煮物にして食卓にのせたのだが、無言でむすりとするネジに
気付くまで10分もかかってしまった。
言ってくれればすぐ下げたのにと、ヒナタは小さな溜息を吐いた。

「俺の嫌いな食べ物、知らなかったのか?」

夫の不機嫌な声。頭に来ているらしい。
ネジは普段何を考えているのか分からない。
厳しい表情、鋭い眼差し。
優秀な上忍である彼は感情を殺す癖がついている。
その彼が不機嫌さを露わにヒナタを睨んでいるのだ。
相当おかんむりのようだった。
普段冷静沈着なネジが怒る原因は大概ヒナタにある。
彼は少しでも彼女が自分に興味を抱かなかったり、
嫉妬しないとキレルのだ。

(やだなぁ・・。悪気があった訳じゃないのに・・。)

冷や汗がこめかみから頬を伝う。また、このパターンだ。
ネジに手篭めにされた時もいきなりで、彼は怒っていた。
後で知ったのだが、彼はヒナタが自分にやきもちを妬か
なかった事に腹を立てたらしい。
他の女性と歩いていたのに!と、事後に責められた。
付き合ってもいないのにである。
優秀な従兄としてネジを尊敬していたが、まさかストイックな彼に
襲われるとは微塵にも思わなかった。
しかもその理由が理由だけに更に面食らった。
呆けるヒナタにネジは自分を愛せと強く迫り、今に至るのだが・・、
すぐに結婚したのでヒナタはネジの事をまだ完全には把握出来ていないのだった。

(恋人時代もないのに、ネジ兄さんの事をいきなり全て把握するなんて無理だよ・・。)

ヒナタの困惑などネジは気にも止めず、今日も今日とて彼女を悩ますのだった。


ネジは執着がないと、周りは言うけれど。
それは表に出さないだけで彼はヒナタにだけは異常に執着している。
いびつで歪んでいようが本物の愛。
彼はその異常に強い愛でヒナタを捕らえ、妻にした。
ヒナタを手に入れてからも彼の歪んだ愛情は凄まじい。
自分への執着もとい愛が、ヒナタに足りないと感じると、子供の様に拗ねるのだ。
もう殆ど毎日・・。

「・・あなたは俺に興味がないらしい。俺はあなたの夫だというのに・・・。」

かぼちゃ一つでここまで拗ねるとは・・・。
これが最強の忍びと里外まで名の知れた男とはとても思えない。
だが、今ではそんなネジを愛してしまっているヒナタは、何とかご機嫌を取ろうと必死だった。

「ご、ごめんね?私、ネジ兄さんの事、愛してるけど、
な、何も知らなくて・・。」

「・・・・・・・。」

「あ、あんまりしつこく聞いたら悪いかなって、思っていたから・・。
ごめんなさい・・。」

「そうか、あなたは引っ込み思案だったな・・。
自分からは動く事が苦手な性格だった。」

漸くネジの機嫌が直った。それを見てヒナタはほっとする。

「ネ、ネジ兄さん、おかず、替わりのもの、用意しますね?」

「いや、いい。」

「?」

不思議そうに見詰めてくるヒナタを軽々と抱き上げるとネジは
寝室へ向かった。
まだ、昼時だというのに。
ネジが何をしようとしているのか
漸く気付いたヒナタは驚きの声を上げた。
羞恥に顔が真っ赤に染まる。

「えっ?!ええっ?!」

焦るヒナタに妖艶な笑みを浮かべながら
ネジはさらりと言った。
「口直しだ。」

強引な夫にヒナタは驚愕しながらも、
今日も彼に流されるのだった。

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過去に掲載サイトに載せた小話です。
楽しんで頂けたら幸いです。

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